「ちよだ芸術祭グランドフィナーレ」は、ベートーヴェンの「第九」とラヴェルの「ボレロ」という二つの壮大な楽曲を中心に据えた特別な公演です。指揮を務めるのは、国内外で活躍する指揮者・寺岡清高さん。今回の公演についてお話を伺いました。
Q.今年のちよだの第九合唱団はいかがでしょうか?
寺岡清高(以下敬称略): 今さっき合唱指導の志田雄啓先生ともお話したのですが、すごくバランスが良いです。印象がとてもいいですね。

Q.今回の「ちよだ芸術祭グランドフィナーレ」では、ボレロ(※)も指揮していただきますが、こちらの印象はいかがでしょうか?
(※)ラヴェル作曲のバレエ曲「ボレロ」に歌詞をつけ、オペラ歌手がピアノ・室内楽とともに演奏する。作詞を俳人・行方克巳氏、編曲を作曲家・田淵大二郎氏がそれぞれ担当。
寺岡: 先日ソリストの皆さんと稽古をしたんですけど、なかなか面白いですよ。色々な仕掛けがあって。オーケストラと合わせてどんな感じになるのかちょっとまだわからないですけど、楽しみにしてます。

Q.今回のグランドフィナーレの聞きどころはどんなところですか?
寺岡: 今回のボレロには俳句のような詩がついてるんですが、背景としては反戦歌のようなもので、平和のありがたさ、というようなテーマがあります。そして、第九の(歌詞である)シラーのもともとのメッセージも似たところがあります。今、世界情勢は分断分断じゃないですか。で、この分断しているものは、第九の中では、喜びというもので、みんなが一つになれる、という理想を歌っていると思うんです。
聞きどころとしては、そういうメッセージが作品に込められている魅力というところをお伝えすることができたらいいなと思います。
寺岡清高先生、ありがとうございました!
Profile
寺岡清高(指揮者)

桐朋学園大学を経てウィーン国立音楽大学指揮科に入学。
1996年プロコフィエフ国際指揮者コンクール第3位。
2000年ミトロプーロス国際指揮者コンクール優勝。
ヴェニスのフィニーチェ座歌劇場管弦楽団、サンクト・ペテルブルグフィルハーモニー管弦楽団、オランダ放送管弦楽団、ウィーン室内管弦楽団、イギリス室内管弦楽団、フランス国立ロワール交響楽団、大阪交響楽団、札響、新日本フィルなど、世界各国の主要オーケストラと共演を果たす。
現在、大阪交響楽団常任指揮者、
三重県亀山市文化大使、
三重県伊賀市文化都市協会音楽アドバイザー
1991年よりウィーン在住